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■子ども達の「漢字学習」に思うこと(1)─筆順を考える

2010.09.12.13:35

sinjyouyoukanji


※「インプットからアウトプットへ」をお休みして─新聞の記事から─

▼2010年9月8日の読売新聞の朝刊で、<11月に現行の常用漢字表(1945字)に追加される予定の196字について、文部科学省の専門家会議は7日、小学校の授業では取り入れず、中学校で「読み」について教える方針を固めた>と報じていた。漢字の読み書きも時代に連れて、またパソコン等の普及などで変わっていく時代になったということだろうか。これによって漢字の「書き取り」そのものには大きな変化はないのかも知れないが、中学校での「読み」にはかなり変化が生まれるのかもしれない。ただ報道そのものには特に目新しいものではなく、「これでまた市販の漢字練習帳が変わるのかな?」と感じた程度である。

▼以前は読みも書きも同じレベルが要求された。つまり学年の「新出漢字」は読みも書きも覚えさせられたものである。しかし今は「書けなくても読めればいい」という新たな基準も出来ている。例えば、「欝」などはその典型だろう。正直なところ、私も読めはするが辞書を見なければもうこの字を書けない。ただ、画面の字面からこれでよしと判断するだけである。だから、今までの新聞のように平仮名で書くこともあったが、平仮名では今度は目立たず埋もれてしまう。そこで「かっこ」で括るとか、カタカナで表記することもあった。
 これもパソコンや携帯電話での入力が一般化したことの影響だろう。英語では考えられないことが漢字の世界では起きている。(逆に、自分では書けないようなやたら難しい漢字を並べることもできる。ただ、基本的に文字は読まれるために書くものであるから、自分で手書きできないような文字を表記したいとは思わない)

▼さらに大きな変化は、書き方そのものにも起きている。今でもそうだが、小学の教育漢字の場合には「筆順」というものが重視されている。これを会得していると綺麗な文字が書けるのだとか(というのは、どう練習したところで、私の書いた字は人様に見せるレベルにはならない。パソコンさまさまである)。
 しかし、筆順というのは本来は決まりがなかったようであるどうも学校現場の教師が決まりを作るよう文部省に訴えたらしい。そこで、文部省では恣意的なものも含めて筆順というものを決めたらしい。
 「筆順指導の手引き」というのを文部省(現文部科学省)が作り、学校ではこれを元に指導している。しかし、この中にも「他を否定するものではない…」と明記されているという。
 ところが、そうなると不思議なもので、文部省の断り書きとは裏腹に、今度はそれがお上から達しのあった絶対的な基準として一人歩きをして、遂にはテストで◯×の対象とまでなってしまったのだ。
 どうも日本の教師は自分で自由に考えたり、その子にふさわしい教え方を考えるよりは、これが正しいという絶対的な基準を求めるところがあるようだ。そういう教師が生徒には「自分の頭で考えろ」というのは矛盾ではないか。(「自分で考えろ」ということは、教え方がわからないということと同義のこともある)

こんな下らない決まりのために、今までどれだけの子ども達が「間違ってはいけない」という思いで自分を縛り、間違いだと言われては出来ない自分に涙を流したことだろう。愚かなことだ。しかし、この決まりもさすがに中学校までは持ち込まれなかった。常用漢字全部に筆順をつけることはもはや不可能なことであったろうし、漢字は文化でもある。文部省の役人やその関係者が勝手に決めてそれでいいという法があるわけがない。
 そういうこともあり、またパソコン等によるデジタルの筆記が普及するに付け、この馬鹿げた筆順の決まりを覚えることが少しずつ緩んできたのは喜ばしい変化である。以前ははねたり止めたりすることも厳格であり、少しでも間違えばたちどころに×をつけられたものだが、最近は筆の勢いということも含め、パソコン等の記述では筆順自体が問題にならないこともあって、あまりうるさくなくなってきた。
 やがてはこれが筆順の指導にも及んで、筆順も問題にならなくなることを願うものである。そんな下らない細部に拘ることは全く意味がないのに、小学校の先生になろうとするためには真っ先に筆順をマスターすることが必須条件であった。そういう時間があったら、それを表現のトレーニングに向けるとか、もっと生産的な方法がありそうなものである。
 何せ「えっ、アルファベットにも筆順があるんですか!」と英米人もびっくりの規則を日本の教師は求めたがるのだから。日本の教師は何を考えているの!どうなっているの!と苦言の一つや二つも呈したくなる。

(2)に続く

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