フリースクールとは何か ─ 学校教育の枠に囚われない学びを求めて(2)
2012.05.08.11:12
フリースクールとは何か ─ 学校教育の枠に囚われない学びを求めて(2)
▼総じて、知的レベルにはさほど問題はなく、むしろ学校的な価値基準では評価されにくい、言わば「異能」豊かな子どもたちと言った方がいいかも知れない。しかし、それ故に一般的な評価を得られずに苦しむこともおきる。自分に自信を持てなかったり、自己卑下の感情が強かったり、プライドが高いために自らに高いハードルを課して超えられずに苦しんだりもする。とかく明確な根拠もなく自己否定の蟻地獄で自縄自縛になっていることも多い。
▼しかも、「勉強さえ出来れば認めらえる」という日本の教育思想がそういうトンデモナイ価値観を創り出してしまったのか、「勉強さえ出来れば…」という思いで雁字がらめになっている子も珍しくない。現実には、勉強が出来るけれども他のことは不得意な子もいれば、勉強は出来ないが他に得意なものを持っている子もいるし、勉強も苦手だし他のことにもあまり意欲を持てない子もいる。だが、子ども達は勉強の出来ないことでは人一倍悩むけれども、リンゴの皮をむけないことで悩むことはまずない 。
でも、本当は逆ではないのか。本来、子どもの教育には狭義の勉強の出来の良し悪しと同様に人として育つことが必須の条件としてあったはずである。それは古風な言い方を用いれば、知徳体を備えた人間ということである。だが、残念ながら、日本の学校教育では勉強が出来ることが人として育つことの十分条件と錯覚されてしまった感がある。学校の先生にして然りなのだ。その結果、今頃になって国際社会での競争力のなさに愕然としている始末である。それは教育のあり方を抜きには考えられないはずえある。
▼本来、学校教育の不備を指摘するのは学習塾の役割かも知れない。1970年~1980年の頃、日本の社会が次第に高度学歴社会に突入する時期に学習塾や進学塾が次々と誕生した。だが、当初学校側は塾の存在に否定的だった。「学習塾なんて行くな!」とは当時の学校教師の殆んどの声であった。そこには対抗意識と同時に学校教師としての自負もあったはずである。だが、学力を維持するために今や学習塾抜きの指導は半ば考えられない状態にある。学校の先生の子弟もまた学習塾に通い進路を決めている。何という変わり様だろう。
しかし、学習塾は当初期待されたように日本の学校教育の変革者となることはなかった。逆に日本の公教育の不備の補完者となってしまった感がある。学習塾や進学塾は学校の勉強の補習をするだけでなく、学力の足りない生徒の尻を叩いて進学指導を行ない受験させる。それは基本的に学校での学習路線を踏襲しそれを強化したものに過ぎない。それが現在の学習塾や進学塾の役割のように映る。
▼フリースクールの場合はどうか?塾の場合とは本来の役割に大きな違いがあると思っている。第一に、フリースクールは学校教育が行われている昼間の時間帯に開かれて、学校教育を補完する目的で夕刻から夜にかけて開かれている塾とはスタンスが違う。第二に、通って来る生徒も主として学校に行けなくなってしまった生徒や学校に行くことを拒否した子ども達である。つまり、フリースクールは基本的に学校教育のあり方に批判的な存在であり、その枠を超えた(本来の)教育活動をしようとすることに端を発しているのだ。もちろん敢えて教育行政と対立する必要はないが、国が主導する学校教育からは比較的自由な位置に身をおいて、より多様な個人のニーズに沿った形で教育活動を行なおうとするものである。
▼国が主導する教育活動はともするとその国のより良い発展を志向するよりも国家目的のために偏向させられがちである。そして国家の目的に沿った人物の育成を目指そうとする。そういう時代の要請から完全に自由になることは難しい。それが歴史教育などに色濃く反映する。
しかし、教育が時の政府の意向に従っていては本来の教育を目指すことはできない。特に今や一国で物事を処理することは難しい時代となって来た。よりグローバルな感覚や視野が必要とされる。その意味からも、必ずしも国家の枠組みに囚われない、より自由な視野を持ったフリースクールの存在やその活動は日本の教育の中でもっと注目されてもいいと思っている。
******************************************************
「教育落書き帳」(ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/gootyokipapa/
「フリースクール・ぱいでぃあ」のサイト
http://freeschool-paidia.hp.infoseek.co.jp/
「いきいきニコラ」のサイト
http://www.os.rim.or.jp/~nicolas/
******************************************************
良ければクリックを。

にほんブログ村
▼総じて、知的レベルにはさほど問題はなく、むしろ学校的な価値基準では評価されにくい、言わば「異能」豊かな子どもたちと言った方がいいかも知れない。しかし、それ故に一般的な評価を得られずに苦しむこともおきる。自分に自信を持てなかったり、自己卑下の感情が強かったり、プライドが高いために自らに高いハードルを課して超えられずに苦しんだりもする。とかく明確な根拠もなく自己否定の蟻地獄で自縄自縛になっていることも多い。
▼しかも、「勉強さえ出来れば認めらえる」という日本の教育思想がそういうトンデモナイ価値観を創り出してしまったのか、「勉強さえ出来れば…」という思いで雁字がらめになっている子も珍しくない。現実には、勉強が出来るけれども他のことは不得意な子もいれば、勉強は出来ないが他に得意なものを持っている子もいるし、勉強も苦手だし他のことにもあまり意欲を持てない子もいる。だが、子ども達は勉強の出来ないことでは人一倍悩むけれども、リンゴの皮をむけないことで悩むことはまずない 。
でも、本当は逆ではないのか。本来、子どもの教育には狭義の勉強の出来の良し悪しと同様に人として育つことが必須の条件としてあったはずである。それは古風な言い方を用いれば、知徳体を備えた人間ということである。だが、残念ながら、日本の学校教育では勉強が出来ることが人として育つことの十分条件と錯覚されてしまった感がある。学校の先生にして然りなのだ。その結果、今頃になって国際社会での競争力のなさに愕然としている始末である。それは教育のあり方を抜きには考えられないはずえある。
▼本来、学校教育の不備を指摘するのは学習塾の役割かも知れない。1970年~1980年の頃、日本の社会が次第に高度学歴社会に突入する時期に学習塾や進学塾が次々と誕生した。だが、当初学校側は塾の存在に否定的だった。「学習塾なんて行くな!」とは当時の学校教師の殆んどの声であった。そこには対抗意識と同時に学校教師としての自負もあったはずである。だが、学力を維持するために今や学習塾抜きの指導は半ば考えられない状態にある。学校の先生の子弟もまた学習塾に通い進路を決めている。何という変わり様だろう。
しかし、学習塾は当初期待されたように日本の学校教育の変革者となることはなかった。逆に日本の公教育の不備の補完者となってしまった感がある。学習塾や進学塾は学校の勉強の補習をするだけでなく、学力の足りない生徒の尻を叩いて進学指導を行ない受験させる。それは基本的に学校での学習路線を踏襲しそれを強化したものに過ぎない。それが現在の学習塾や進学塾の役割のように映る。
▼フリースクールの場合はどうか?塾の場合とは本来の役割に大きな違いがあると思っている。第一に、フリースクールは学校教育が行われている昼間の時間帯に開かれて、学校教育を補完する目的で夕刻から夜にかけて開かれている塾とはスタンスが違う。第二に、通って来る生徒も主として学校に行けなくなってしまった生徒や学校に行くことを拒否した子ども達である。つまり、フリースクールは基本的に学校教育のあり方に批判的な存在であり、その枠を超えた(本来の)教育活動をしようとすることに端を発しているのだ。もちろん敢えて教育行政と対立する必要はないが、国が主導する学校教育からは比較的自由な位置に身をおいて、より多様な個人のニーズに沿った形で教育活動を行なおうとするものである。
▼国が主導する教育活動はともするとその国のより良い発展を志向するよりも国家目的のために偏向させられがちである。そして国家の目的に沿った人物の育成を目指そうとする。そういう時代の要請から完全に自由になることは難しい。それが歴史教育などに色濃く反映する。
しかし、教育が時の政府の意向に従っていては本来の教育を目指すことはできない。特に今や一国で物事を処理することは難しい時代となって来た。よりグローバルな感覚や視野が必要とされる。その意味からも、必ずしも国家の枠組みに囚われない、より自由な視野を持ったフリースクールの存在やその活動は日本の教育の中でもっと注目されてもいいと思っている。
******************************************************
「教育落書き帳」(ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/gootyokipapa/
「フリースクール・ぱいでぃあ」のサイト
http://freeschool-paidia.hp.infoseek.co.jp/
「いきいきニコラ」のサイト
http://www.os.rim.or.jp/~nicolas/
******************************************************
良ければクリックを。

にほんブログ村
スポンサーサイト