虫から蝶へ、劇的な身体的変化を遂げて飛び立って行った卒業生

2011.05.08.17:58

▼5月の連休の明けた6日、今年卒業した元中学3年生の男の子がひょっこりと顔を出した。今は歴史ある私立高校の生徒として頑張っている。今もこの南浦和の駅を通過して高校に通っているのだとか。「じゃあ暇なとき、寄ってみればいいよ」と伝えた。

▼先に今春は東日本大地震、大津波、福島原発事故、計画停電…など、未曾有の事態が次々と起き、とても桜前線が近づいてくるの悠長に待つというような状態ではなかったから、予定の卒業式もずれ込み、お流れも已む無しの感じだった。が、「いやいや、こういう時だからこそやらねば」という思いで、計画停電が中止となった3月31日に急遽決行したのだった。残念ながらいきなりのことで参加できないご家庭が何組もあったが、ささやかながら無事送り出すことができた。その時も、彼は参加していた。

▼思い返すと、彼は1年の時に殆ど救いを求めるような状態でやって来た。いじめや対人関係等に起因する不登校ではなかった。中学生になって原因不明の身体的不調がいきなり襲ってきたのである。激しい頭痛や虚脱状態が四六時中彼を襲い、殆ど起きられない状態になっていた。まともな日常生活はとても難しかった。だから、学校は完全に見放していた。そういう中、彼はやってきた。
 私と話をし、通じるものを感じ、最初は時間通りには行かなくても、少しずつでもいいからやってみようと思うようになった。こちらでもあらゆる可能性を探ってみた。顎関節症の治療も行ない、整体にも通ってもらい、場合によってはMRI等の断層撮影も必要かと考えた

▼一方で、日々可能な限り勉学やスポーツ(テニスやサッカーなど)を通して関わる中で──集中して取り組むには中々難しい状態にはあったが──行動療法的な観点も取り入れて、精神的なケアも可能な限り行った。とても個性的なタイプでプライドの高さも伺われたが、こちらで言ったことは本人もご家族の方も意外なほどに全面的に信頼し受け止めて、ズラすことはなかった。

▼そういう中で、中々こうだとは言い切れなかったが、長年の不登校生徒との関わりの中で、私の中に一つの確信のようなものがあった。「これは医者の薬であしらえばいいというような類のものではない。しかし、数年間辛抱すれば確実に快方に向かうはずだ。これは思春期に生ずる、成長期特有の身体的トラブルなのだ」と。
 一般に知られているのは「成長痛」のようなものだろうか。成長に伴って生ずるトラブル、例えば青虫が蛹の状態を経て蝶に変身するように、それは心に生じることがあると同じように身体にも生じるのだ。大きなトラブルに至ることは比較的少ないが、彼のように劇的な形で現れる場合もある。
 

▼だが、風邪薬一つまともに処方されない今の学校では、そういう理解を求めることはとても難しい。自分たちの対応能力の無さを棚にあげて、「学校に来ないのだから、うちの生徒じゃない」みたいなバカな扱いをする学校が今でもまだたまにある。彼の場合も、親御さんが下手に出たから組み易しと見られたのか、有り得ないような処遇を受けたが(これは高校への提出資料で判明)、望みを高く持ち続け、心が折れそうになりながらも挫けずに何度も挑戦し、最終的に意に叶った栄冠を勝ち得た。(これがなければ、中学校に調査書の情報公開を求めるつもりであった

▼今となってはすべて笑い話で済ませられる。小さな器をなじっても詮方ない。根に持たないことだ。「体調はどうか」と聞いてみたら、今はもう完全に抜け切って、何の問題もないと言う。煎れてやった紅茶を美味しそうに飲みながら、今後の夢を語ってくれた。「ぱいでぃあ」に通う中で、彼が描くようになった夢。それは如何にも彼らしくとても素敵だ。その夢がますます大きく膨らんでいくようだ。もしかしたら「ぱいでぃあ」で学んだことも形を変えて生かされるかもしれない。

▼何かと今の日本は暗い話題が多い。でも、それはほとんどが今の大人達がやってきたことの結果である。今、至る所でそれが軋み悲鳴をあげているように見える。このままの日本ではもう続かない。限界である。この泥船は沈没するしかない。が、一方でそれは新生日本の胎動であり、新しい生命の誕生の陣痛かもしれない。そして、彼は確実にそちらの側に立っているのがわかる
 「借りた本を返しに寄った」という彼は、「また来るから」と帰っていったが、その後姿にはもう自分の夢実現に向けてまっすぐ歩んでいく高校生の息吹が漂っていた。


※次回は、早稲田大学などの大学生になった卒業生からの報告、をしたいと思います。


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 世の中にはもと不登校とか学校が合わなかったという人はたくさんいます。でもその人達は自分を否定せず自分を貫き通し自己実現した人達。不登校をはじめ様々な逆境をまたとないチャンスとして積極的に生かした人達。何も特別な人達ではありません。どの子もそうなることことを願っています。主役はあなたです。

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